離婚届（１）

　98年11月号｜98年12月号

• 離婚の概要

  　男女の合意によって成立した夫婦は、同居・扶養・貞操・同氏の義務が民法で定められています。
  　ところが、その夫婦としての義務が果たせなかったり、そのほか様々な問題が生じて離婚するケースが今日増えてきました。同時に、再婚や再離婚、養子縁組や養子離縁、入籍などの届出も増加しています。
  　離婚の届け出については、ケースによって説明内容が異なりますので、具体的な事例を挙げながら解説を行います。

• 協議離婚（１）

  Ｑ．わたしは数年前に夫の氏を称して結婚しましたが、このたびお互いの話し合いで離婚することになりました。どうすればいいでしょうか？

  Ａ．夫婦間に離婚についての意思の合致があるなら、戸籍法上の届出（協議離婚）によって成立します。
  　離婚届書には、必ず各々が自署・押印します。（印鑑はスタンプ印でないもの）
  　届出は届出人の本籍地または所在地でできます。本籍地でないところに届け出る場合は現在の戸籍謄本が１通必要となります。
  　また、届出書の右上には証人として必ず成人者２名の署名・押印が必要です。
  　さて、この場合離婚届を出すと妻の戸籍はどうなるのでしょう。
  　妻はこの届出によって、元の戸籍に戻ることができます。（この場合、戻る先の戸籍謄本も１通必要です）
  　戻る戸籍がすでに除籍になっている場合や自身で新しい戸籍を作りたい場合は、自分が筆頭者となって戸籍を作ることができます。
  　このように、妻は原則的には婚姻する前の氏に戻りますが、婚姻当時の氏を離婚後も称したい人は、この離婚届のほかに、離婚の際に称していた氏を称する届出（戸籍法77条の２の届出）を提出しなければなりません。ただし、この届出が出せるのは離婚の日から３カ月以内に限られています。以後に氏を変更するには家庭裁判所の許可が要りますのでご注意を！

• 一口メモ

  　77条の２の届出は慎重にしてください。
  　一旦、この届出を出したら、家庭裁判所の許可を得ないと旧姓（婚姻前の氏）に戻ることはできません。また、この届出をした人が再婚し、その後離婚した場合、戻る氏は婚姻前の氏（前夫の氏）になってしまいますのでご承知おきください。

　今回のケースは、基本的なパターンの離婚届ですが、次回は協議離婚で未成年の子がいる場合をご紹介します。